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pet and aquarium

---その23:オオクワ収穫ゼロ〜オセアニアの宝石---


 サキシマヒラタのほぼ全ての個体が新たな飼い主の元へ嫁ぎ、我が家の温室もかなりガランとしてしまった。嫁さんの従兄弟へプレゼントする予定のオオクワ幼虫を割り出し、もし大量に産まれているようなら、その一部をこの空いたスペースで飼育しても良いかもしれない。
 6月下旬のある日曜日、セットから6週間経ったオオクワの産卵木を割り出した。オオクワの幼虫は比較的新しい朽木を好むため、発酵マットではヒラタのような大型個体を望むのは難しい。50〜60mm台であれば、未発酵のマットにバナナ等を埋め込むだけで羽化させることができると、あるベテランの方が報告されていたが、70mm台を望むなら現時点では菌床飼育が最も理想的であるという。とは言え、割り出してみるまでは何頭の幼虫を回収できるかもわからないので、事前に頭数分の菌床を用意することは難しい。そこで一時的な保管場所としてルアーケースを細かく仕切り、未発酵のマットを詰めてから割り出し作業に入った。・・・しかし。
 収穫ゼロ。何という結果だろうか。サキシマのときはあれほど大量に回収できた幼虫が、オオクワに関してはゼロである。オオクワは立ち枯れに産卵するとのことで、サキシマのときのように産卵木をマットに埋め込むことなく、マットの地表に置いておいた。このため産卵木が乾燥してしまい、それが原因で死んだと思われる幼虫の亡骸も発見したが、それにしても僅か2頭のみで、後は食痕すら見つからない。要するに、産んでいないのである。サキシマのときにあまりに簡単に増えたので舐めてかかっていたが、ここで改めて「サキシマは多産」ということを思い知らされた。期待させていただけに従兄弟には可哀想な思いさせてしまったが、また改めて、猛暑を過ぎたころに再挑戦してみたいと思う。
常識を超越した色彩を誇るパプアキンイロクワガタ
OLYMPUS E-10
 さて、すっかり住人を失い、新たな入居者のアテもハズレてしまった我が温室だが、その空白を埋める新たな住人が舞い込んだので紹介したいと思う。パプアキンイロクワガタ、通称パプキンである。オセアニアに生息するこの奇妙な虫は、クワガタムシ科というよりはむしろカブトムシなどを有するコガネムシ科の虫を思わせる、厚みのある体型をしている。♂らしからぬ小さな頭部を持っているあたりも、コガネムシを髣髴とさせる要因となっていると言えよう。まして、オオアゴが天に向かって湾曲しており、横から見た姿はカブトムシの角を思わせる。オセアニアにはこの他に、ニジイロクワガタという更に光沢度を増した、まさに鏡面仕上げとも呼べるクワガタが存在し、その体型はパプキンと非常によく似ている。オセアニアといえばコアラやカンガルーを始めとした有袋類など、他の地域では見られないちょっと変わった動物で有名だが、それらと同様にクワガタも独自の進化を遂げたのだろう。ただしこんなにも特徴のある形をしたパプキンも、♀に関しては触角の形がコガネムシチックなこと以外は他のクワガタの♀とそう変わらない形をしている。
 パプキンの魅力は何と言っても、その美しい金属光沢にある。まるで自動車の焼き付け塗装のように光り輝くその体色は、言うなればオセアニアの宝石。見る者を一瞬にして魅了するだけのパワーがある。上に掲げた♂の写真を見ても、胴体は緑がかった金、肢と頭部はピンク、符節とオオアゴは青、そしてオオアゴの内側にはオレンジの微毛がびっしりと生えている。「ここにいます」と言わんばかりの派手さである。オセアニアにはクワガタの天敵というものがいないのだろうか。この金属光沢は見る角度によってその表情を変えるという手の込んだもので、見ていて飽きることがない。
 ♀はご覧のとおりグリーン基調のメタリックだが、これも角度によってはエメラルドから青に見えたりする。また、飼育しているうちに色が変わることもあるという。ただし、このグリーン基調は「この個体」についての話であって、他の個体がこの色とは限らない。実は、パプキンの魅力は♂ではなく♀の体色発現にある。♂は大体上の写真のような色で、多少の幅で色が変わる程度なのに対し、♀の体色は赤からピンク、青、グリーン、金、黄、紫、そしてそれらを掛け合わせた繊細で複雑な色合いなどなど、とにかくありとあらゆる色を持った子供が、一頭の♀から産まれてくるのだ。♂ばかりがもてはやされるクワガタ界にあって、パプキンは♂よりも♀が重視される珍しいタイプのクワガタと言えよう。


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