---その14:禁断のオオクワ〜魅惑の造形美---
オオクワガタ♂上面図
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何度かこのシリーズの記事の中で書いている昆虫フォーラムは、クワガタを飼育する上で大変重宝なフォーラムである。飼育技法や野外採取についてのアドバイスはもちろん、昆虫についての各種考察などなど興味深い情報が満載で、この趣味を続けていく以上、私にとって絶対に手放せない情報源となった。私がNIFTY-Serve(現:@nifty)に入会したのは93年の暮のことだったが、これまでに数々のフォーラムへ出入りしては、会議室を利用させてもらった。Macはもちろん、映画や小説、写真、アクアリウム、バドミントンなどなど、興味のあるフォーラムは片っ端から覗いてきたし、それだけありとあらゆるジャンルのフォーラムが、@niftyには存在した。そして、ここ最近は昆虫フォーラムに出入りさせていただいているわけだが、この他にもう一つ、「ペット鳥&何でもフォーラム(FPETANY)」というのが存在することを、最近になって知ったのである。この中の「僕らはファーブル」という昆虫を扱う会議室でも、昆虫フォーラム同様にクワガタ飼育に関する情報を得ることができるのだが、「僕ファ」を初めて覗いたその時に、「昆虫バザー」なる言葉が目に飛び込んだ。バザーというからには、メンバーが品物を持ち寄って、それぞれが欲しいものを買って行くというのを想像するが、昆虫バザーに関してはその収益を何かの財源とするわけではなく、希望者は欲しい昆虫を無料で分けていただくことができるのだ。要するに、大規模な余品交換というわけである。
嫁さんの従兄弟に、小学校3年生の男の子がいる。この子は昆虫が好きで、夏には何度か一緒にクワガタ捕りに出かけたが、残念ながら収穫はゼロだった。サキシマヒラタ見せたときには心底欲しそうな顔をしていたが、私も「大事にします」との約束で人からいただいたものだけに、その従兄弟にあげてしまうわけにはいかなかった。iBookの画面に表示される、余品としての「オオクワガタ」の文字。私は出品者の方に「小学生の従兄弟のためにも、ぜひ・・・」とオオクワの里親を申し出た。残念ながら、70mm以上の新成虫はバザー開始後わずか1時間で里親が決まってしまったとかで、私は60mm台の♂2頭と40mm台の♀4頭の計6頭をいただいた。新成虫を希望したのは実はサイズではなく、累代は来年以降にしたかったからである。いただいた6頭は昨年羽化し今年採卵した実績のある個体なので、ひょっとすると今年産んでしまうかもしれず、そうなった場合、サキシマの幼虫が30を超えるこの状況の中、果たして管理しきれるのか不安だったのだ。だがオオクワはヒラタ系とは異なり完全に材産みで、マットに産卵することはまずないとのことなので、今年は産卵木を入れずにおくことで回避可能という結論に達し、ありがたく頂戴することにした。
オオクワガタ♂側面図
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敬老の日、クール宅急便にてオオクワが届いた。発泡スチロールの箱を開けると、プラボトルの中に1頭ずつ小分けになっており、全ての個体が肢を萎縮させ仰向けになっていた。素人目にはどう見ても死んでいるように見えるが、オオクワは桧枝岐の冬を越す寒さに強い昆虫だ。たかだか2日、低温による仮死状態が続いたところでどうということはない。ボトルから出して窓際の暖かい場所に置いておいたところ、ものの数分で復活し、ゴソゴソと動き出した。
実は、子供の頃には昆虫博士を自負していた私だが、オオクワというものをナマで見たのはこれが初めてだったりする。ひと月ほど前にショップにてガラスケースの中の更にプラケースの中にいるのを見たことはあったが、何しろ臆病で有名なオオクワだけあって、マットから体の一部がはみ出している程度の姿しか見ることができなかった。もちろん、購入の意志があるのであれば、店員さんにその旨を伝えていくらでも見ることは可能だとは思うが。そんなわけで、この歳になってはじめて、オオクワをこの手にとってナマで見ることができたわけだが、正直言って、かつて写真で見た時はオオクワにさほど魅力を感じなかった。サキシマに比べて大アゴも細く、一見、貧弱に見えていたのだ。ところが実物を見て、その考えを改めざるを得なくなった。確かに、サキシマヒラタに比べて力強さは全然感じないが、オオクワの大アゴは実に優雅で複雑な曲線で構成されているのだ。これは、よく図鑑等に出ている上から撮影した写真からだけでは絶対に分からない。手にとって、あちこちからその造形を眺めて、初めてわかるものなのだ。
元々、小学生の従兄弟のためにと思って里親を買って出たオオクワだったが、一目見た瞬間に私がすっかりハマってしまった。完全夜行性のため昼間はさっぱり姿を見せないどころか、夜になっても電気を点けた時点でコソコソとマット内に逃げ込む臆病者のオオクワだが、これだけの造形美を備えていれば、大人たちが夢中になるのも理解できようというものだ。
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