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pet and aquarium

---その27:水景壊滅! 黒髭藻の恐怖---



レッドファントムテトラ
Canon EOS 10D / EF100mm F2.8 Macro USM
Tv=1/80s / Av=3.2 / ISO400
 前回、「ところが・・・!!」と思わせぶりな引きで記事を終えたわけだが、なんとあの写真を撮影した一ヶ月後、あろうことか作者の水槽は、あのいやらしい黒髭藻によって壊滅状態に追い込まれたのである。7年というブランクが、作者の勘をそれほどまでに鈍らせてしまったのだろうか。確かにかつて密閉式フィルターも持たず、CO2も添加していなかったころは、あの黒髭藻にはよくお目にかかった。しかし、その時でさえここまで水草という水草が全て真っ黒になったことはない。
 黒髭藻は普通、底砂や器具などの無機物にも発生する。しかし今回の発生は水草のみ。そしてその肝心の水草の成長が異様に遅い。植物は通常、フィトンチッドと呼ばれる忌避物質を分泌することで、他者の寄生から身を守る。つまりうちの水草たちが、十分なフィトンチッドを分泌することができないほど弱っているから、藻類に寄生されてしまうのだ。また、水草が元気なときは、水中に漂う栄養分を水草がみんな消費してしまうので、藻類が育つ余裕がない。水草が弱ることで成長が止まると、藻類にとってダブルで好都合な環境になるというわけだ。

 問題は、なぜここまで水草が弱っているか、ということである。pHを測定すると、CO2添加前で約7.5。添加後6時間ほど経って測定しても、7より下がることがない。多くの水草は弱酸性の軟水を好むので、硬度はともかくこのpHは好ましくない。考えられる要因は2つ。濾材と石である。今回使用した濾材は、かつて作者が使用していたものとよく似ているが、全く別のメーカーの製品だ。もう一つの要因である石は、立体的な構図を狙って、流木を立て掛ける目的で近所の河原から拾ってきたものを投入した。濾材は大手メーカーのセラミック製のものであり、これが原因でpHが上がるとは考えにくいし、これを従来使用していた実績のあるものに交換することは、いきなり生物濾過機能をストップさせることを意味するので、あくまでも最後の手段としたい。
 石・・・。カルシウムを多く含む白いものは避けたつもりだ。本当にこいつが原因なのか・・・。ただ気になるのは、作者の地元は地酒の名産地であるということだ。作者は酒を飲まないが、全国的にも相当有名な酒どころである。酒のうまいところは水もうまい。うまい水は硬度が高く、pHもアルカリに傾いている。地質的に、元々魚や水草の生育には適さない場所なのだ。それが証拠に、川の中を見ても水草の姿はあまり見かけない。流木を立て掛けるために入れたこの赤い石。容疑は限りなく濃厚だ。この石はレイアウトの根幹を支える存在であるため、この石を取り除くけばレイアウトは崩壊する。可能であれば・・・取り除きたくはない。しかし、日に日に増殖する黒髭は、こうして悩んでいる間も水景を蝕んでゆく。そこにはもう、心安らぐ空間など存在しないのだ。

セミリセット後の水草水槽
Canon EOS 10D / EF24-70mm F2.8L USM
Tv=1/50s / Av=9.0 / ISO800
 平成16年正月。作者はついに意を決し、水槽のセミリセットを敢行した。せっかく定着した濾過バクテリアを殺したくないのと、黒髭のすき間から顔を覗かすミナミヌマエビの子供たちを全てすくい上げるのが不可能であることから、重要参考人の石と変わり果てた姿の水草には江戸所払いを申し付け、新たに健康な水草を植栽するにとどめざるを得ない。
 水草を引き抜くたびに泥が舞い上がって水が濁ってしまうため、少々手を加えては水が澄むまで30分ほど待ち、また手を加えては30分ほど待つ。これを何度か繰り返し、やっと全ての水草(の残骸)を除去した後で、石がなくなった分の高さを補うために、ADAのアクアソイル・アマゾニアを追加し、伸びきったウィローモスをむしり取った流木を再び設置。新たに購入したウォーター・ウィステリア、アマニア・グラキリス、グロッソスティグマ、ヘアーグラス、エキノドルス・テネルス、ドワーフアマゾンソード、パールグラス、ラージパールグラスを植栽し、ピグミーフロッグピットを浮かべる。ほとんどヤケクソに近い量の水草ではあるが、既に藻類にとって都合の良い環境になってしまった水槽で奴等に勝利するには、可能な限りの水草を投入して敵を圧倒するしかないのだ。かのドズル・ザビ中将も「戦いは数だよ、兄貴!!」と言っていたではないか。
 しかし敵も然る者。一番成長が速いと踏んで植栽したウォーター・ウィステリアは一週間後には再び姿を現した黒髭の犠牲となり、頂芽部を残して処分せざるを得ない状態となった。アマニア・グラキリスやグロッソスティグマにも、ちらほらと黒髭が見え始めている。安息の地への道のりは、まだまだ遠く険しいようだ・・・。


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